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安曇野パーマカルチャー塾 Vol.3 2004年6月26日(土)〜27日(日)

安曇野パーマカルチャー塾、6月26日のレポートです。
 
大した内容でもないのに、提出が遅くなりました。
 
レポートを書いている最中、安曇野やシャロムの雰囲気、
 
メンバーの顔や話が思い浮かんで、楽しく書くことができましたよ。
 
こうして記録を取ってゆくということ、いいものですね。
 
また今度機会があれば、楽しみにしています。
 
 
それでは、後をよろしくお願い致します。


             渋谷正和

第3回 1日目 6月26日(土) 晴れ時々小雨

13:00 集合(松本IC出口横) ≪やっさんはサラダ街道北上中≫

また懐かしい安曇野の雰囲気と一ヶ月ぶりのメンバーとの再会に、またこの地に戻ってきたのだな〜と、しみじみと顔が緩みました。 

13:30〜16:00 自然農法国際研究開発センター農業試験場

                                 http://www.janis.or.jp/users/infrc/

第3回安曇野パーマカルチャー塾は、財団法人自然農法国際研究開発センター(以下、自然農センターへの訪問からスタート。育種課の中川原さん、研修生の内田さん(藤野パーマカルチャーデザイン講座卒業)と松本さん、3人が農場を案内して下さいました。 

≪自然農法とは≫

  さて、自然農法の創始者は、岡田茂吉氏。健康なお野菜たちが育つよう、農薬はもとより、人為的な肥料にも頼らず、自然の流れに調和して、大地がその偉大な力を発揮してもらう、それこそが自然農法のココロ。自然農センターは、その自然農法の技術研究と普及のために、平成2年に設立されました。 

≪草生栽培と野草たち≫

  お野菜と草とが共に生きる「草生栽培」では、お野菜と牧草が交互に植えられていました。この牧草が生えている場所を「草生区」といい、イネ科のイタリアンライグラスとオーチャードグラス、マメ科のアカクローバーとクリムソンクローバーを混生させている。

テキスト ボックス: 草生区(牧草)  敷き草用 50cm
テキスト ボックス: 草生区(小麦) 50cm
テキスト ボックス: 草生区(牧草)  敷き草用 50cm
テキスト ボックス: 通路 50cm
テキスト ボックス: トマト 一列植え
テキスト ボックス: 通路 50cm
テキスト ボックス: スイカ 一列植え
 

 

 

 

 

 

 

これらの牧草は、2ヶ月で腰の高さまで伸びるが、だいたい20センチくらいになったら、芝刈り機で草を刈りとる。ただし、20センチというのは目安であり、刈り取り時期はお野菜たちとのバランスで決まる。見極め方法は、お野菜の葉の色。草に栄養を吸い取られすぎていると葉色が薄くなり、栄養が多いと葉色が濃くなる。

  草生区には、4つほど効果がある。1つめは、お野菜と草とを競争させることで、お野菜の自立心があおられ、「根をはろう」、「強く育とう」と頑張るのです。2つめは、お野菜のまわりの敷き草にできる(ただし、過湿状態をつくり、病気になったりするので、お野菜のすぐ近くには草マルチせず、円を描くように少し間を空ける)。敷き草は、分解されるときに出される有機酸が近くの草を抑え、また分解されれば堆肥として栄養分になる。また、敷き草の下が、多様な生き物の住処になり、自然のバランスが取れる(特定の害がおきにくい)。それと、土の乾燥を防げること。3つめは、大雨があっても、草が生えていると、水はけが良い。4つ目は、水はけが良いと同時に、水と一緒に酸素が運ばれ、酸素の透過性が良くなる。ただし、水はけが良いことで、栄養分も流れてしまうという。

  ところで、草生区に自然に繁殖する草ではなく、牧草をはやすのには理由がある。草にも特定のストレスに強いものがある。「刈り込む」というストレスには、牧草の方が力強く生きるのです。それに、土の下にマット状の層をつくり、ミミズを呼び込みやすいので、土を耕すのが早い。ここでは白クローバーを生やしていない。それは、白クローバーは横にはって生きるので、刈り込むときに剥がしにくいのだという。 

≪フカフカの土のほうが良いのでは?≫

一般的に 、フカフカの土が良いと言われているが、いくつか弊害があるという。1つめに、天気が続くと乾燥してしまうこと。土が固ければ、土同士の密着度が高いので、下の方から水分が上がってくる。2つめに、モグラが畑をあらす、ということ。ミミズの多い畑には、ミミズを食べるモグラが現れて、畑を荒らす。しかし、「通路」の部分の土を良く踏んであげれば、お野菜の区画にモグラが入ってこない。 

≪お野菜たちの育て方は子どもと一緒!≫

  お野菜たちの育て方は、子どもの育て方と一緒。若いうちは、ストレスを感じやすく、その頃の生育状況で、その後の成長や実りまで決まるという。

     ≪育て方の3つの要素≫

「よく食べ」 - 光が良くあたるように

             ※ただし、肥料は酸素の吸収を弱らせたり、根のはりを弱くする。

「よく遊び」 - エネルギーを使うように (呼吸を活発にさせ、根をはらせる)

「よく学ぶ」 - 草と競争させるように (野草であった頃を振り返らせる)

            

≪子育て上手なサニーレタス≫

   サニーレタスのまわりには、草が生えないという。確かに、種をこぼして、種を残すには、そこに草がたくさん生えていては問題がある。そこで、サニーレタスは、「結球せずに、開いたままでいる」という工夫をする。葉を開くことで、草の生えるスペースを与えないこと、それに加えて、葉が大地に落ちて枯れるときに有機酸を出すが、葉が落ちる範囲が広いので草の生える場所が少なくなるのです。また、自分の葉を大地に落とすことで、自分の周りに虫を集め、ミミズを集めて、土を耕してもらい、栄養も作ってもらうのです。土地に合ったお野菜は、自分で自分の周りの環境を整えているという。

  結球するレタスは、確かに美味しいが、人間が改良したものであり、生活力がサニーレタスよりも少ない。結球しようとするエネルギーは膨大なものであり、それに耐えられないと病気になったりする。今、より生活力のある結球するレタスをつくるために、サニーレタスと結球レタスをかけ合わせているのだという。 

≪競うのではなく、調和と共生≫

「よく学ぶ」(草と競争させ、野草であった頃を振り返らせる)ように、お野菜たちには草と一緒に成長させてあげた方が強く育つ。お野菜同士も、仲間同士で競わせてあげると、最も力強く生活力のあるものが飛び出してきて、より強い種を残してゆくという(ただし、お野菜たちも生まれたての頃はストレスがかかることが多いので、「巣まき」してお野菜の森をつくってあげ、仲間同士でお互いに守りあって育ってもらう)。

また、競いあいから脱落し、自然に間引かれたお野菜たちも、実は「負け」ということではない。確かに、枯れてしまうのだが、実は残ったお野菜にいのちをつないでいる。草も同じで、刈ってあげたあとは、生気がのり移ったように、お野菜たちがぐっと成長するのです。見方によっては、弱肉強食と思われてしまうが、実はお互いを支えあい、共生している、とのことでした。相性の良いものと一緒に暮らすと元気になるんだから、コンパニオンプランツも共生ですね。

 

 

≪土づくりのノウハウ≫

  土づくりとして、米ヌカ主体のぼかし肥(発酵肥料)を一反(約30m四方)に200kgまく。ぼかしをまくのは、生物の多様性を多くするため。また、ぼかしの有機酸で、表面の草が生えるのを抑える効果もあるという。(ただし、ぼかし肥をまいてから種をまく場合、ぼかしを食べにくる生物が一緒に種まで食べてしまうから、少しは時間をあける)

  また、土を露出させず、植物が生えていれば、自然と土は肥えてゆく。土を休ませることが良いのではなく、植物を生やし続けることが「土づくり」なのだという。大地と植物は、片方がもう一方に与えるだけでなく、お互いに支えあい、生かし合っている。

  また、永続的に大地が良い状態であり続けられるよう、「トマトの後作(10月以降)は、小麦(1010日くらい)をまき、小麦の後は大豆をまき、またトマトをつくる」、という風に畑を使ってゆく。そうすることで、余分な栄養素は小麦が吸い取ってくもらい、必要な分の栄養素を大豆の根粒菌が補ってくれる。また、小麦も大豆も地中深く根を張るので、土の中まで耕してくれる。そのような自然界の摂理を理解し、その力に助けてもらうのだという。 

≪キャベツに青虫がついていない!≫

  キャベツに青虫がつくのは、栄養分が多いから。ここでは、余分な栄養分をとなりに植えた小麦に吸わせ、栄養分の調整をしている。余分に成長させると良くなく、「競争」、「共存」、「がまん」の3拍子が揃っている状態がよいという。僕らも、「腹8分目」とよく言うが、おなかいっぱい食べるのが良くないと言われているのと一緒なのかな。 

≪「自然生え」と生命力≫

さて、野草とお野菜とが混生している「自然生え」の畑。ここでは、まったく自然界の流れにまかせており、「集団で生え、自然に間引かれて、最後に強いものが残る」という自然の摂理をそのまま。お野菜たち自身が種を落とし、そうして自生したものというは、非常に強く育ち、また必ず芽が出てくるという。同じ畑であっても、まいた種は弱く、黄色くなっているという。「何にも手をかけない、自然が一番強い」。ただ、おもしろいことに、お野菜たちもほったらかしにすると野生化してゆき、手をかけてあげると野菜らしくなるという。やはり、温室育ちの秘蔵っ子は、可愛らしいのだが弱いのだね。

  「こぼれ落ちた種が自生して・・・」を3年間続ければ、一つの品種に固定してくるという。中川原さんが、連作に関してもお話しており、「はじめの3年は、バランスの崩れから生まれる土中の病気を外に排出するためにお野菜に病気が発生するが、それ以降は減ってくる」という。自然界の流れの中には、3年という期間がなんらかの意味を持っているのかもしれない。

   さて話を戻して、この「自然生え」の畑でも、完全に自然を再現しているわけではない。まったく放任すると、草の方がはびこってしまうので、お野菜たちが育つくらいには刈ってあげるという。ただし、お野菜たちが芽を出す頃にきれいに刈り取ってしまうと、土が乾燥してしまい、芽の出が悪くなる。むしろ、「芽が出る頃だけは、草の間から頑張ってもらう」という感覚の方が、よく芽が出るという。

≪まめ知識−アブラムシが付いてしまったら≫

【アブラムシがつく理由】

●気候

●肥料が多い

●何らかの病気がある(根っこに問題があるとか)

●土が乾いている → 新陳代謝が悪くなる

   【アブラムシ対処方】

    牛乳をかけてあげると良い。牛乳が乾くと、牛乳の膜がはり、酸素供給ができないため。

≪質問コーナー≫

   Q.自然農センターの種は買えるの?

   A.申し込みをすれば、誰でも種を購入できる。

    Q.研修生は、どのくらい受け入れているの?

   A.一年間で、だいたい5〜6名程度受け入れている。

     また、短期の研修も受け入れており、詳細に関しては要相談。 

   Q.トマト、ナス、人参は交雑しますか?

   A.近くても、トマト、ナスは交雑はしないけれど、人参は500mくらい離さないと交雑する。

     根菜類の種取りは、いったん抜いてみて、根の状態の良いものを植え替え、種を取る。

 以上、「女性が多くてはりきっちゃった」中川原さん、ありがとうございました!

内田さん、松本さんは、その後も同行してくれることになりました。

16:45〜17:15 各自の畑の管理

それぞれ、一ヶ月ぶりの畑へゆきました。今回は、収穫できるお野菜がかなりあったようです。ジャガイモ、カキチシャ、葉大根、コカブと、みんな大きく育ってくれたお野菜たちを、嬉しそうに眺めていたように思います。それに、見覚えのないお野菜の芽が出ていたりと、宝探しの雰囲気もあったようです。

 

 17:15〜18:30 フリータイム

風呂組、畑組、宿題組に分かれました。私は、風呂組でしたが、大きな露天風呂でぷっかりつかっていると、もう本当に幸せ〜な気分でした。前回も足湯に行きましたが、毎回の恒例にしたいですねぇ〜! 

18:30〜20:00 夕食

  ≪夕食メニュー≫

●パン−フォカッチャ

●前菜−根菜ときのこのマリネサラダ

●スープ−ヴィシリワーズ

●ごはん−茶樹きのこ入 玄米ピラフ

    ●メイン−そばの実ソーセージ トマトマスタードソース

    ●デザート−白玉入 もものふるふるゼリー

    ●玄米コーヒー 

20:00〜21:30 〔課題〕日本のシステムデザインの発表

 (みなさんのお話を私なりにまとめてみました)

≪日本社会のメインストリーム≫

  少数の方々を残して、消費者も生産者もひっくるめて、日本全体のシステムが、快適さ、便利さ、低コスト、高効率高生産性であることを求める傾向がある。例えば、コストを抑えるために、海外に労働力を求め、その生産物を日本に運び込むが、そのエネルギー消費量は非常に高い。

  快適さ、便利さ、低コスト、高効率高生産性の質を少しでも落として、少しエネルギー消費ということに考えをめぐらせば、多機能性の芽が生まれ、サブシステムがいくつも生まれることもある。しかし、快適さ、便利さ、低コスト、高効率高生産性に執着して、かつ部分部分ですべて最高である選択をするので、個別でのエネルギー消費量は低くても、全体的なレベルでのエネルギー消費量が非常に高い、ということになる。

  これほど高エネルギーであるのに、エネルギーの使い方に気を配ることはほとんどなく、他の4要素が社会の中心的なエレメントなのです。 

≪「水」、「エネルギー」、「栄養」からみた日本社会≫

  「水」は、「飲み水」のみ少量輸入する留まり、ほぼ自給できており、問題はない。

  しかし、「エネルギー」と「栄養」に関しては深刻です。エネルギーに関しては、石油、原子力など主軸となるエネルギー源は、そのほとんどを海外に依存している。また食に関しても、米以外は海外依存度が高く、カロリーベースの自給率は約40パーセント。例えば、豆腐は日本固有の伝統的な食であるにもかかわらず、豆腐の原材料の大豆の自給率は5パーセントであり、ほとんどを海外に依存している。食べ物の輸送、移動するにつれて、食料の自給率が減ってゆくという指標がある。

  逆に、日本が海外に出すものといえば、情報、技術、サービス、工業製品で車、そして埋め立てされるゴミを含めて、廃棄物(自国でリサイクルはほとんどない)などがほとんど。海外ないし、外からのものが、これほど多く日本に投入されているにもかかわらず、日本から出てゆくものはほとんどない。これらの投入物のほとんどは日本に蓄積されていることになります。そのほかは、環境汚染というカタチですが、ごみを埋め立てたり、海に流したり、空へ排出したりしている。

  付け加えとして、最近、エネルギーの使い方に気を配る傾向もないわけではない。例えば、最近の高気密性の住宅である。これらは、温度の漏れを防ぐという意味で、省エネを念頭に置かれていたが、逆に高気密性があだとなり、通気性が悪く、結露などの原因で、家や土台などが腐ってしまい、結果的にはエネルギー的に非効率なものとなってしまった。どんなに、エコ、そして省エネを意識していても、全体的な視点でエネルギーを考えてゆかないと、逆に高エネルギーなものとなる。 

≪どんなことができますか?≫

日本というシステムは、安いエネルギーにより支えられている。しかし、近い将来、エネルギーが高くなるはずであるし、またエネルギーを使い続ける状況に地球がないかもしれない。そのような時代に、日本というシステムはもう支えきれるはずがない。

社会的なレベルでは、重要なものの見極めと、社会そして経済システムの見直し(プロセスの簡略化など)が必要となる。また、ひとつの方法として、サマータイムの導入がある。しかしながら、一人の人間が社会を変えることは非常に困難である。ですから、自分自身の生活を一人一人が見直すという、個人レベルでの変革が重要となる。

個人レベルでは、「豊かさ」の意味を再考し、循環をイメージできる小さなサイズでものを考え、自然の流れに沿ったライフスタイルを築くことが大切。そこから多くの新しい視点が生まれてくる。例えば、一つのものを掘り下げて考えてみると、一つのものから多くの機能性が見えてくる(稲がもたらすものとして、米、稲わら、ロープ、日本酒)。また、地産池消、ないし自分で食べ物を作ることで、食べ物の移動エネルギーを抑えられる。また、自然エネルギーをもっと上手に利用しようとする、菜の花プロジェクトなど。

このような個々の変革により、社会は変わらざるを得ないし、確実に変わってくるはずである。それに、今、社会は希望に満ち満ちているのです。自分の足元から現状を変えていくような、環境に意識のある人々が多くなり、集まってきている。それが社会のメインストリームになる時代が来るような感じがします。

ここで、初日のプログラムは終了!

この後は、自由参加で『発展とは何か〜ラダックから学ぶこと〜』が上映されました。 

21:45〜22:45 〔ビデオ上映〕『発展とは何か〜ラダックから学ぶこと〜』

懐かしい未来へのホームページ
 
「Ancient Futures(懐かしい未来) 〜発展とは何か?〜
 
 スウェーデン出身の人類学者による本から生まれたこのビデオに、世界の人々が共鳴。米国では小中学校の授業にも取り上げられています。その日本語版を上映します。
グローバル化とは何か?題材はヒマラヤの山村ですが 現代の日本をもう一度見直したいと感じさせる映像です。

小チベットと呼ばれるラダックはチベット仏教が篤く信仰され、質倹と助け合いの伝統により何世紀にわたって環境バランスや社会的調和の中で暮らしてきた。やがて「開発」「発展」がやってきた。
ラダックの文化と環境が崩れていくさまは、「進歩」とは何か、世界の「貧困国」における「開発」、「先進国」の「発展」のあり方を考えさせられる。ラダックの事例は、環境や社会、あるいは私たちの精神の諸問題の根本的な原因について示唆してくれる。そして、私たちの未来についても貴重なガイドラインを与えてくれる。


 

≪ラダックの今≫

   ラダックは、近年、急速な発展を遂げました。発展により物質的に豊かになった反面、「人間関係がギクシャクして、バラバラ」、「農業をする人がいなくなってきている」、「発展はしているが、昔よりも豊かでなくなってきているような感じがする」と、ラダックの方々は話します。実際に、ラダックでは、環境破壊とコミュニティの崩壊がすごい速度で進んでいます。

 

≪ラダックの伝統的な暮らし≫

ラダックの各家は、1.6ヘクタール程度の土地を持ち、家畜を飼っており、自給自足の生活をしていた。ラダックの方々は、「すべてのものは、相互につながりあっている」ということを理解しており、「調和して生きる」ということへの配慮の気持ちがあった。木材も、石も、土も、水も、ラダックでは配慮して使われていて、それは「生産性を増やし、天然資源を破壊する」近代とは違う文化であった。それを支えていたのが、「相互扶助の関係」と「地域に根ざした技術」であった。農作業を手伝ってくれたら、お金を渡すのではなく、食事でもてなし、また相手の農作業を手伝い返していた。それに、ラダックの人々は、泥でレンガを作り、自分自身で家を建てることができた。

  それになによりも、「コミュニティの一員として生きる(All for one, one for all)」という精神があり、自分の家庭よりも大きな輪の中で生きていることを意識していた。収穫時期には、家族や親族、それに関係する方々が集まり、そしてまた、収穫時期が重ならないように互いを意識しながら、一緒に手伝いながら仕事をしていた。そして、収穫が終わると、コミュニティ全体で、一週間くらい「おどり、うたい、わらう」祭りが続くのです。宗教的儀式でさえも、祭りのような感覚で行われていた。

  ラダックには、西欧のような文明はなく、快適さはないけれど、豊かな環境とコミュニティ、そして長い時間をかけて築かれた伝統文化の中で持続的に生きてきた。

 

≪発展とそれがもたらしたもの≫

  今、ラダックには、インドとつながる大きな道路ができ、「発展」という概念が持ち込まれた。それにより、物質的には豊かになったが、それは伝統的な価値観を失わせ、コミュニティの崩壊を招いている。

そこでは、人々を支えるのは、政府から送られてくる物資であり、地域の自主性というものは失われています。今までは、「自然と調和して生きること」こそが価値なのであり、すべてのものが自然から来て、自然に戻っていった。しかしながら、その価値が失われつつある今はトラックの排ガスとゴミがたまってゆく。短期的には、外からきた安いものは「豊かさ」をもたらしたが、長期的な視点からすると・・・。

また地域の自立性が失われた今、政府から送られてくる貴重な資源は、いざこざを起こし、官僚的な分配は、上下関係を意識させ、劣等感を感じさせるのです。今、ラダックでは、コミュニティが崩壊し、家族やコミュニティに頼るのではなく、お金に頼るのです。また、コミュニティの崩壊は、伝統的な「調和の文化」を失わせ、犯罪なども増えてきている。

  そして、ラダックの変化は物質面と精神面だけでなく、「時間の流れ」にも表れる。伝統的には、余暇に多くの時間を費やしていたが、開発は生活のスピードを速めている。

  また今、子どもや女性も将来の見えない過酷な状況に身をおいています。子どもは、伝統的に生活の中から教育を受け、伝統的な生活の仕方を学んでいたが、今は、経済社会の中で生きるための専門的知識を学校で学び、伝統的な価値を学ぶ余裕はない。そこでは、セーフティネットがなく、落第したものは、行き場がなく、近代システムから排除され、伝統的な生活に戻ろうとも、その仕方も分からないのです。それに女性は、農の場に残され、一人でしなければならない作業が多い。以前は、親族一同ないしコミュニティで支えあっていたことも、一人で対処しなければいけないのです。

  このような状況にもかかわらず、ラダックの人々が「西欧文明のへのあこがれ」を抱くのは、外からの旅行者がひとつの原因を与えている。ラダックの人々が長い間かけてためる財を旅行者は一日で使い、それが西欧文明の清潔さと豊かさのイメージを増幅するのです。その結果、世帯の富は、その購買力、財の蓄積に移り、伝統的な価値である自給率ではなくなったのです。 

≪ラダックから学ぶこと≫

  「発展」は、短期的には、物質的な豊かさを与えたが、長い時間をかけて築いてきた伝統的な豊かさを壊しているのです。これは、第3世界で起こっている問題ではない。産業革命以降、少しづつ変化してきたために、ラダックのような急速な変化がなく、見えにくいだけであり、西欧でも起こっていることなのです。

  ラダックが取り戻すべきは、自然、コミュニティ、家族など「つながり合って生きているのだ」という意識です。知恵とは、将来的な視点で物事を見ることができる、体系的な能力なのです。専門的な知識ではなく、知恵を持って、もっと生態系やコミュニティ、地球とのつながりを取り戻すように生きることが、ラダックから私たちが学ぶことなのです。 

この後、ラダックのお話の余韻を残したまま、そのまま掘りごたつを囲んで、臼井さんのお話を聞いたり、話し合ったり、お酒を酌み交わしたり(一部の人たち)して、アフターを充実して過ごしました。みなさん、12:30分くらいには就寝しましたが、いつも思うに、私はこの時間がパーマカルチャー塾で一番大切な時間だと思います。また今度も語らいあいましょう! 

記録:渋谷正和

SHIHOちゃんからのメーセージです。

昨年のヘレナ招聘残念会のビデオ上映会で
紹介した、ヘレナさんからのメッセージを皆様に送りたいと思います。
(ヘレナさんがインフルエンザにかかったため、来日キャンセルになったんです)

残念会では、「懐かしい未来」を上映したあと、グループトークの時間をもちまし
た。
そして、最後にヘレナさんからとどいた、この以下のメッセージをよみました。
ちょっとながいですが、どうぞ、お時間のあるかたは、ごらんくださいませ。

全体的に文章内容がチグハグしていますが、
私自身が、このラダックの活動を通して大事にしていることは、
開発や発展のその前と後の状況をのみ比較することではなく、
ラダックのたどる道を、仲間たちと考え、悩み、そして、
これから、私達はどのように生きていくのかを決めるための
素地を作っていくことだと思っています。
だから、かよさんのお仕事の話を聞かせてもらえて、よかったです。
どうぞ、また、きかせてください。それから、お仕事、がんばってくださいね!!
応援していますよ!!

では、また!!
++++
以下転送+++++++++
「ヘレナさんからのメッセージ」
皆さんは、懐かしい未来のビデオ「発展とは何か:ラダックから学ぶこと」をご覧に

なったと思います。このフィルムで表現されていたほど状況は暗くないということ
を、強調しておきたいです。というのは、ラダックですでに始まっていたさまざまな

自主的な取り組みを、撮影のときに含めることができなかったからです。

部分的には ISECの支援を得て行われたその取り組みは、グローバル経済の破壊的な
インパクトに 対抗しようとし、ラダックの自立と誇りを強化しようとするもので
す。しばらくの 間、これらのプロジェクトの多くは大変効果的で、特に西欧の消費
文化がラダック独 自の文化に優越するものではないということ、従って、自分たち
が劣っているとか遅 れているとか貧しいとか感じる必要がないのだということを、
ラダックの人たちが理 解することができたのは重要だったと思います。

このような取り組みの中でも最も重 要なのはラダック女性連合(Women’s Alliance
of Ladakh: WAL)
で、これはISEC 1990年の立ち上げを支援しました。この団体の主
な目標は、ラダックの精神的および環境的価値や、農の営み、遅れていて劣っている
と見られる田舎の女性などを重視 し、強化することにあります。WALは現在100以上
の村々に6000名ほどのメンバーがおり、ラダックでももっとも力強い運動となってい
ます。

ISEC
はまた、「リアリティ・ツアー」というのを行いました。ISECがスポンサーとな

って、約30人のラダック人が西欧を訪れ、自分たちの眼で何がどうなっているのかを

見たり、環境や社会問題の活動家たちと会ったりしました。彼らは老人ホームやホー

ムレスの避難所、埋立地などを訪れ、消費文化のさまざまな社会的環境的コストを知

ることができました。ISECはまた、西欧においてコミュニティを再建しようとする、

まだはっきりと目に見えないが大変意義深い試みにも触れてもらうようにしました。

共有住宅(Co-Housing)やエコヴィレッジ、国際コミュニティなどです。また有機農業

やバイオダイナミック農業、パーマカルチャーや森林の回復など、大地とのよりよき

バランスを取り戻そうとするさまざまな取り組みの全体を見せるようにもしました。


多くの西欧人が知らない何千もの小さな規模の取り組みがあり、ラダック人のような

第三世界の人たちは、それらを聞いたこともないのです。そのような取り組みは、コ

ミュニティと自然とのつながりに対する深い切望を表しています。西欧においてこの

ような価値がいかに重要であるかを認識することで、ラダックの人たちは彼ら自身の

精神性とエコロジカルな価値への尊敬を取り戻せるようになります。

ISEC
はまた、過去10年ほどにわたって、「ファームプロジェクト」を行ってきまし
た。これは西欧人がラダックの村人たちとともに暮らし働くというものです。西欧人

たちが自分たちの手を汚して働こうとするだけでなく、農の営みを実際に楽しんでい

るのを見ることは、特に農の営みを原始的で遅れているとして拒否し始めていた若い

ラダック人に対して、上記と同じような深い効果をもたらします。私たちはこのよう

なメッセージを数え切れないほどの村での会合やセミナー、ラジオ番組、演劇、歌や

文書などで伝えてきました。

いま私は、以前の10年間よりもずっと、楽観的に感じています。
もちろん、ラダックの状況が完全に好転したわけではありません。またISECによって

だけでもないのですが、私たちの仕事ははっきりした影響をあたえていて、明らかに
ラダックの人々の中に、意識の変化と気づきが生まれています。この意識の転換は、
構造変革のために欠かせ ない前提条件なのです。

すべてのレベルで、私たちの仕事にたいする評価やサポートが劇的に増えてきていま
す。そして、嬉しいことに、これは、ラダックそれ自身の評価を上げるということに
もな っています。

さまざまな境遇のラダック人が、近代的な世界からもたらされた商品の利点により懐
疑的になっており、伝統的なやり方の価値に気づき始めています。

西洋で勉強したラダック人の医者は、以前は地域の伝統医療を見下し、輸入された加

工食品の健康コストに気づかずにいたのですが、今では自分たち自身の医療の伝統を

見直しています。彼らは日常的に、地域で取れた自然食品を食べることを勧め、その
ほうが輸入された 加工食品よりも健康にいいのだということをはっきりと伝えてい
ます。殺虫剤や、化学肥料を広めていた農業の専門家の多くが、まったく違うことを
言うよ うになりました。鉄やセメントばかり使っていた技術者や建築家は、地域の
素材である石や泥、レンガ や木などを使うようになりました。新しい地方政府は、
再生可能なエネルギーを推進し、2020年までにディーゼルをや めようとしていま
す。そして、多分、すべてにおいてもっとも重要なことは、ラダックの精神的なリー
ダー たちがいま私たちの仕事を積極的に支えてくれていることです。ラダックのラ
マ僧の 頂点にいるバクラ・リンポチェは最近、女性同盟を表彰しました。

ISEC
にとって、経済発展による心理面や精神面への影響の問題はとても重要です。
私たちが一番ラダックに貢献しているのは、消費文化がラダック人を幸せにするかど

うかについて彼らが共に議論しあうよう助けていることだと思います。
西洋化した世界においてもまた、人々がよりよく生き、幸せになることが追求されな

ければならないと信じています。

では、私たちはこれらのことから何を基本的に学べるのでしょうか。

今日、私たちはグローバル経済の構造や、それがどうやって機能しているかを理解す

ることが最も重要です。それと同時に、自分自身の心と魂を深く探求して、何が自分
を本当の意味で養 ってくれるのかを問い直すことも大切です。経済と、政治と、精
神性とが組み合わさ ることで、変革へのとても強力な動きが生まれると信じていま
す。
この道を探求するうえで、私たちは、個人としての自分自身から始めるべきだという

落とし穴にはまらないようにすべきです。これは、とてもありがちな感情です。
この「自分自身から始める」という考えから、多くの人が、自分たちはバラバラな個

人ではないということに気づかずに、個人の内面的な変革だけを追及するようになっ

たのです。

コミュニティや、まわりの自然界に影響を及ぼすものは、私たち自身にも影響を及ぼ

すのです。
ですから私達は、個人と社会の両方のレベルに同時に取り組む必要があります。
先に自分自身の変革をなしとげてから、もっと大きな経済構造や政治的な問題に取り

組むべきだと思い込むことはありません。両方の側から同時に始めることはとても大

変だと思うかもしれませんが、実際にはそうやったほうがずっと大きな成果が得られ

ることに私たちは気づきました。
つまり、人々がコミュニティとしていっしょに働くことの大切さを学び、
私達に変えた時に結果はずっと力強いものになるのです。
共に働くこの私達というのは人類全体でも日本全体でもなく、人間的なスケー
ルのコミュニティのことです。それが個人と世界全体とをつなぐインターフェースに

なることでさまざまなことを成しとげられるのです。

特に、農家と消費者をつなぐコミュニティフード運動は、社会的にもエコロジカルな

意味でもたくさんのメリットがあります。世界経済がじわじわと私たちをむしばみ続
ける中、こうしたプロジェクトは有意義 な変化を引き起こすことができます。で
も、個人やコミュニティのレベルで行動する だけでは不十分です。WTOや国際通貨基
金、世界銀行、それにアメリカ政府の先導によって、企業が残りの世 界に対して不
公平で持続不可能な開発をおしつけ続けるかぎり、地球温暖化や有害化 学物質、生
命体の遺伝子操作、社会や政治の不安定さ、人種差別、それにテロなどの 問題は、
すべて増え続けるでしょう。私たちはこのプロセスを見ぬいた以上、経済のグローバ
ル化の進行に抵抗するため に何かをする責任があります。

私達にできる最も重要な事は何でしょうか? ISECとしては、それは情報や教育
を提供し、意識の向上をうながし、そこからメッセージを引き出してもらうことだと

考えています。残された時間は短いので、市民運動的なやり方で早急にだれもが自分

の時間のうちいくらかをこの活動に費やしていくのです。

エキスパートである必要はありません。 ビデオやニューズレターや本を、体系的に

ちんと渡していくだけでもいいのです。あるいは、こうした問題について10人の友人

に話し、さらに彼らが同じようにしてくれるように頼むこともできます。

持続可能なやり方を明確に打ち出し、どうやってそれに至るかを考えるには、グロー

バル経済を全体的に深く理解することが必要です。そして今以上に、社会のより多く

のセクションの人々の参加が必要です。現実に継続的な変化を起こすためには、環境
運動や社会運動が経済の変革に関わって いく必要があります。自分の時間やお金
を、世界の状況を改善するのに費やそうという思いを持った心ある 人たち全員が関
わってゆくのです。どんな活動であれ、社会や環境の病を癒すために行動する人たち
が、はっきりと経済 の根本的な転換の必要を理解できたならば、現実に変化の可能
性が生まれるでしょう。もし、イラク戦争に反対して行進した5000万人もの人たちす
べてがこの経済の変革 に加わり、貿易政策の転換、成長という概念の見直し、そし
てこれまでと違う政治の しくみを要求し、流れは変わり始めるでしょう。

こんばんは。


昨年見逃してしまった「発展とは何か」のビデオを観ることができてよかったです。
それからヘレナさんからのメッセージを紹介してくださってありがとう。思帆ちゃん。

これは提案なのですが、<パーマカルチャー安曇野2004>で、1口出資したらどうだ
ろう、と思いました。もちろん、個人出資もいいです。が、無理のないところで、一
人1000円とか500円でもいいんじゃないかな。ビデオはシャロムのライブラリーに預
かっておいていただけば、シャロムに来た人にも伝えられるので、いいなあと思いま
した。

参加される方、おられますか。


PS.新作ビデオが完成したら上映会をやりましょうね。思帆ちゃんまた解説してくだ
さいね。

あけみ
 



6月27日レポート担当の遠藤マキです☆
遅くなりましたがレポートが完成しましたので提出しまーす。

お恥ずかしながら、ワードで文書を作って添付するのは初めて
なので、成功するか不安ですが、とりあえず送ってみます。
よろしくお願いします。

もし、不都合がありましたら、連絡ください。
再チャレンジしてみます。      遠藤真紀

2日目 6月27日 日曜日 曇り

1■ 農作業

 朝6時、眠い目をこすりながら各自の畑へ行きました。今回が3回目の塾で、塾以外でも日常的にみんなが植物と接していることもあり、だんだん畑の手入れも慣れてきました。  

 それぞれの畑は、葉っぱに虫が付いていたり、間引きをする時期であったり、花が咲いていたり、収穫物があったりと、多様性あふれる自然農の畑になっていました。

 各自の畑の手入れ後は、餅キビの間引きをしました。間引いた餅キビはシャロムの畑から個人の畑やプランターに場所をかえ、命を育みます。また、黒豆も蒔きました。

  

 

■2■ 講義:雑草たちの生き残り戦略

 農作業後、そのまま畑で梅ちゃんから雑草たちの生き残り戦略の講義を聞きました。

 まず、植物には  (Competitive)タイプ  :競争に強く生育旺盛な競合型

                          Ex:クワなどの木本になる植物

          (Ruderal)タイプ      :絶えず攪乱される場所で有利な攪乱耐性型

                                               Ex:畑や道端などに生育する植物

          (Stress tolerant)タイプ:過酷な環境に強いストレス耐性型

                         Ex:サボテンや高山植物

があり、環境のちがいで有利となる植物にも違いがあることを知りました。

 次に、伸び方にもいくつかの違いがあり、縦に伸びたり横に伸びたり、成長点を低くして束になったり株になるものがあります。また、種のつけ方にも、季節を問わず短い生育期間で花を咲かせ、実をつけて一生を終わるタイプと、開花の季節が決まっていて、日照時間で実をつけるタイミングを計っているタイプがあります。このようなそれぞれの方法で植物たちは巧みに命を繋げようとしているようです。  

 野菜もこれらの植物と同じでそれぞれに生き残ろうとする戦略を持っているはずです。それを私たち人間がわかってあげることも、野菜作りの大切なアプローチ方法の一つだと思いました。

  

 

朝食

   

   

3■ 自然農の田植え体験

 午前中のプログラムは、シャロムでの講義の予定を変更して、詩さんの自然農の田んぼで田植え体験です。自然農の田植えは初体験の人が多く、みんな興味津々で田んぼへ向かいました。予想通り自然農の田んぼは、普段私たちが目にする田んぼとは全く違っていて、草がたくさん生えていて、代かきもしてありませんでした。 

 今回植えたのは(水田で栽培する一般的な稲)のコシヒカリと、:別名おかぼ(水がなくても栽培できる稲)のキヨハタモチです。 

 キヨハタモチの苗は、全く水を入れずに苗を育てるの苗床から、鍬で取り出します。稲の根を切らないように地面と平行になるように慎重に鍬を入れ、土をつけたまま苗を取り出します。水分を含まない土のついた苗は不思議な感じで、一見他の草と見分けがつきませんが、茎の部分が毛羽立っているのが稲の苗のようです。コシヒカリの苗は準備済みでした。 

 

田植えのやり方と注意点です。

植える部分の草を鎌で切ってそこに苗を植えますが、浅すぎると倒れてしまうし、    

 深すぎると分けつできずに育ちません。

株間やすじ間はふつうの田んぼの場合、狭くして34本の苗を一カ所に植え、たくさんの苗を植えるようにしますが、自然農の田んぼの場合は、株間は2030p、すじ間は40pにして、草刈りができるスペースをあけ、基本は一カ所に一本の苗を植えます。植える苗は一本から分けつしている苗と、一本一本が細い苗が束になっているものをきちんと見分けて、茎が太くて良い苗を植えるようにします。

周りの草は稲が負けそうな状態だったら刈ってあげるようにします。(ヒエやセリは稲が負けてしまう草です。) 水稲の場合、クローバーやエノコロ草などの陸生の草は水を入れると死んでしまうので刈らなくても大丈夫です。 

 いよいよ自然農の田植えです。

   

 水回りの悪い方には陸稲(おかぼ)、良い方には水稲を植えます。作付け縄に沿って一列に並び、後ろに下がりながら苗を植えていきます。草を刈りながらの田植えは、まさに初体験でした。陸稲の方は田植えというより野菜作りの苗を移植するような感覚で、水稲の方は水が張っている所に苗を植える時の深さ加減が難しかったです。 

 田植えが終わった後は、畦豆を蒔きます。

 大豆は水が好きな野菜で、畦に2粒ずつ、株間20pくらいで蒔きます。このとき土をかけると大豆が腐ってしまうので、草(できれば緑の草)をかけておきます。

 〜番外編:畦塗り〜

   田んぼの水漏れを防ぐために田植え前には畦塗りをします。水漏れしそうな田

  んぼの低い方だけでもいいようですが、畦豆を植えるために周囲全体をやります。                                                                         

@水の入っていない状態の田んぼの古い畦の側面と田んぼの外側の土をスコ   

 ップで崩す。

A田んぼに水を入れて崩した土を練りどろどろにする。

B水を田んぼから抜いて一晩おく。

C次の日に畦の上の面と側面をその土で塗り固める。

Dできあがり

 

 詩さんの田んぼから帰った後はすぐに昼食となりました。具だくさんの野菜カレー・お やき・新鮮な野菜をたっぷりのせて食べるサラダピザ。やっぱりシャロムのご飯は最高で す♪

 食事の後は臼井さんの一声で、藤さんのギターステージになりました。穏やかなシャロムに響く「愛を歌おう」と「イマジン(替え歌バージョン)」。いつ聞いてもあったか〜くなります。 …………… 塾の終わりに、詩さんが、実はこの時、3回目とは思えないあったかな安曇野塾の仲間のことを思いながら、うるうる〜な状態だったことを告白。そんなあったかな詩さんにうるうる〜ですね☆

 昨日の自然農法センターと今日の田植え体験で外に出る機会が多く、ちょっと疲れていたみんなは体を休めるため、心地よい音楽の後、心地よくお昼寝をしました。

   

5■ 講義:野菜栽培の基礎知識

午後は、詩さんから野菜栽培の基礎知識についての講義です。

 まず、農耕は自然破壊であるけれど、農耕をしながらも自然を破壊しない方法の一つとしてとしてパーマカルチャーがあるというお話から始まり、山菜と野菜の違いや特徴、日本原産の野菜が少ないこと(うど、せり、ふき、みつば、わらび、ぜんまい、じねんじょ、みょうが、わさび)などの基本的な野菜の知識を知りました。

 また、作物の育つ条件では、作物は二酸化炭素と水と光だけで私たち人間にとって有用な糖を作り出してくれることや、植物の嫌光性・好好性、原産地による適温の違い、自然界の積み重ねで多様な生物のいる健康な土ができることなどを再確認しました。収穫の法則からは、肥料などを作物の生育のための最適環境以上に投入すると、虫がついたり病気になってしまい、結果的に収穫量は逓減してしまうことを知りました。

 連作障害と輪作では、昨日の自然農法センターでのお話をふまえた上だったので、連作障害や輪作がどういう状態のことか、またその原因や対策などが、わかりやすく体系的に整理ができました。

 品種の選択では、自然農法に適する品種は、自分の体を大きくして栄養分となる収穫残サを多く次の世代に残すために、早晩性はゆっくり育つ中生、草勢は強く、枝振りは多く、半結球、葉は薄く大きく、草丈は高く、実は小さいものであることがわかりました。

 最後に、作物を育てるうえで一番大切なことは

       工業製品を作ることとは違い、子供と同じように生命を育てているという意識を持つこと。

       幼い頃はよく手をかけてあげて、自立させること。

       野菜の意志を見極め、それに答えてあげること。

       野菜から常に学ぶ姿勢で技術にはしらないこと。 です。

 作物の栽培はおいしいものを食べたい私たちと子孫を残したい野菜たちの共同作業です。 

6■ 建築実習

詩さんの講義の後はホットチキンハウスの施工図の制作実習です。

 ホットチキンハウスは鶏小屋+温室の建設から、とりあえずは一間(6尺)四方の鶏小屋のみの建設となりました。(温室はあとから増築予定ということで)

 まずは家づくりの基本である番付表(大工さんの設計図)とホゾ(組み立てるときの凸凹部分)の説明を聞きました。「いの一番」でみんなうなずきです。

 早速、土台、柱、梁のグループに分かれて施工図作りに取りかかりましたが、ほとんどみんながホゾの組み方をイメージすることや尺貫法で図面をひくのは初めての作業だったので、何をどうしていいのか???な状態でした。やっと各自分担された場所の施工図をひけるようになってきた頃に、建築実習は終わりになり、図面をひき終わった人、居残りした人、宿題にした人とさまざまなようです。今回の2日間の中で一番の難関でしたが、次回の続きが楽しみです。

  

7■ ふりかえり

 第3回目の安曇野塾もあっという間に終わりとなりました。今回もみなさん充実した2日間を過ごすことができたようです。特に1日目の農法センターでの中川原さんのお話が印象に残った方がたくさんいました。2日目にご一緒した農法センターの実習生のお2人からも良いお話を聞くことができました。詩さんから出された日本のシステムデザインの課題やラダックのビデオからもそれぞれがそれぞれの問題意識を心に刻んだようでした。

 今回の安曇野塾では、技術的な向上だけではなく、哲学的な部分を意識し、それを会話から認識しあい、自分の生活の中できることから実践することが大切であるということ改めて確認できたように思います。また、回を重ねるごとにみなさん一人一人の魅力的な部分がわかってくるので、とても刺激的で楽しいですね。

 今回も臼井さん、梅ちゃん、詩さん、シャロムのスタッフのみなさん、ありがとうございました。次回も楽しみです。