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399-8602
長野県北安曇郡池田町会染260-3       
矢口一成
TEL
FAX   0261-62-4737
azuminokazoku@ultraman.gr.jp
 

 

2005年3月3日
液体の比重計です。これを塩水につけて比重を計る。緑色の上が1.17。
 

立春からほぼ一ヶ月、三月三日ひな祭り。いよいよ2005年無農薬有機栽培の米つくり三度目の挑戦です。全国でもおいしい米の生産地として五本の指に入るここ安曇平で六年前から自然にやさしく、安心、安全な米つくりを実践されておられる池田町の矢口一成さんの指南ではじまりました。”米の無農薬有機栽培の極意は元気な苗作りに尽きる””これさえ出来れば米つくりは手間もかからず経費削減、しかも赤とんぼやツバメの舞う自然にやさしい田んぼに生まれ変わり、安心安全な米が取れるんだよ”・・・・矢口さんの言葉は丈夫な種籾と同じように重かった。安曇野の高瀬川と東山に挟まれたたここ池田町からは三月に入ったといえどもアルプスの峯峯はまだ深い雪に覆われています。水は口にはいいあらわせない冷たさ。今日は種籾の塩水選作業。50リッター樽に比重1.17の塩水を作る。塩は工業塩でなく粉砕塩、ここへ種籾を注ぎ浮いたもみをすくい上げていく。この塩水はミネラルがたっぷり、土壌微生物がいきいき。すべてが自然にやさしいんだね。

 

昨年、無農薬、有機栽培したぷっくり太った元気な籾を塩水につける。しっかりした元気な籾は殆ど浮かない。これを網に入れて塩分を洗い流して、天日ぼしをする。その後、化学農薬を越える高い防除効果のある温湯浸法を行ないます。10日ないし二週間後です。

2005年3月17日 二週間前に塩水選した籾は天日干しの後4キロづつ網に入れる
 
今日の主役は、温度設定すると浸透時間が表示される画期的な温湯処理機。
従来化学農薬でないと種子伝染性病虫害は防除できないとされていたが、民間稲作研究所とメーカーの共同開発によって完成された。
この方法ではすべての病害虫に効果があり最も大切な地球環境への負荷が全くないということ。
60度の湯の中に10分つける
  途中で引き上げ湯が満遍なく廻るように左右に振る
  10分でブザーが鳴る。速やかにお湯を切る
  これを速やかに冷水につけ全体が冷えるように揉み解す
  全体が冷えた段階で水道水を流しっぱなしのたるの中につける
この温湯浸法は種子消毒とともに発芽促進効果もあることが実証されています。
この後浸種はイネの生理を考え、また寒さに抵抗できる苗を作る意味からも低温長期浸種がいいと
されています。
理想は6度前後で20日間。

 
次回はいよいよ発芽を促す催芽作業です。
 
いよいよ播種だ・・・・。

 
 
3月28日  
3月28日
種籾の長期浸種作業と平行してハウス内の苗代つくりを進める。無農薬有機栽培の最大のポイント、元気な成苗をそだてる
に尽きるとまで言われる一成さんと外はアルプスおろしの冷たい風吹くが汗をかきかき、時折腰を伸ばして山を拝む。
 
ハウス内のプール育苗を進めるために周りの畦シートを張り均平な床を作る。
昨年まで野菜の苗つくりや、花の早期育成に使用しておられたので作業は汗を掻かせてもらった。この時期の汗は要注意。
4月7日
安曇野特有の天候の崩れるまでの強風に見舞われる。気圧の谷が日本海から近づきこの安曇平を通過するまで土ぼこりを巻き上げる南風だ。
朝突然矢口さんから電話が入り今日長期浸種した種籾を催芽機に入れるよととのことで駆けつける。
もみは色を濃くして胚芽のあたりが少し盛り上がった状態だ。でもバラつきが見られる。
 
6-7度の水温で一ヶ月近く浸種した籾は水気を含んで膨らんでいた。
 
この籾を矢口さんの側の催芽機に入れる。
23度に温度設定された外気温に比べれば温水が上部から酸素を十分含んでシャワー状に流れ落ちて籾の隅々に行き渡る様になっている。
  温水?は槽の中を駆け巡る。
 
一方プール育苗するハウスは水を張り均平を確かめいつでも苗箱が並べられるように出来上がる。
 
このハウスには500強のポット苗の箱が並べられます。
それは約30センチ四方に植えて2町歩の田んぼに植えつけられる。
4月9日
いよいよ播種だ!
四月九日高瀬川の上流に針の木、蓮華、爺が岳、鹿島槍、五竜岳、白馬三山とアルプスの峰峰が見渡せ、一昨日の砂塵を巻き上げた強風は何処へ抜けたか、穏やかな気だるい春の一日となる。でもみんなの顔は余裕の影にも程よい緊張がうかがえる。
 
48時間23度の温水?につけられた種籾は少しかさを増していた。
 
催芽機から取り出された籾はカタツムリのように可愛い角を出している。
 
さて、作業開始。 この機械がこれまた優れもので、今まで三日も四日もかかっていた播種作業を短時間に片付ける代物。ポット苗播種機だ。
機械の手前にポット用播種板を10枚単位でセットして、次の赤い箱に無肥料の培土を入れ中央の箱に種籾を入れ、最後の箱に覆土、(無肥料)を入れる。
スイッチON!自動で播種板が一枚落ちてチエンで流れて手前の箱の下で培土を受け次の所で種籾が各ポットに2〜5粒撒かれて、次の箱の下で覆土を受け、余分な土は刷毛で均される。種まき完了!一枚わずか10秒たらず!超便利機だ!
 
392ポットに2〜5粒種籾が入り、この上に覆土をかぶせる。
 
見事な作業をこなす機械でしょう。 土、種籾、土とわずか3メートルの機械で仕上げる。
 
仕上がったポット板を200枚近く軽トラに積んで、いよいよ近くのアルプス一望のハウスへ。
 
こんな環境で育てられる苗は日本一幸せだよね。
旨い米に育つし、この風景はずっと残したいですね・・・・・。ハウスのパイプ越しに眺める燕、餓鬼岳は余りにも綺麗。
 
ハウス前に到着。 右の長い板はぬかるみ状の床を一輪車で苗を運ぶ桟橋。
ベニヤ板は置いた育苗箱を鎮圧しながら平らにし、次の箱を置くための足場となる。
農業って大工、土木、建築、鉄工所、地質学、自然科学、私たちを取り巻く環境に精通し、またその技術を使いこなさないと
難しいんだ。
日本の文化、芸術、産業の発展の基礎が農業にあるんだと思い知らされる。
今日農業は社会の片隅に追いやられて、肩身の狭い思いをしながらやっと営農と言う状態だが、これは大問題だね。
独り言、言っててもはじまらない。
 
ハウスの中は両サイドを開けないと汗びっしょり。
左の列が育苗箱を並べ終えたところ。
中央のように箱を並べる前に防風ネットを敷く。苗が成長してポットの穴から根が伸びて床に根付かないように。
右端は均平に均された床。
 
500枚強張り詰められたハウス内に,アルプスの頂にかかりだした斜光が眩しい。
表面の培土が乾燥したためたっぷりと水を撒きその上から保温と保水を保つためにラブシートとシルバーポリをべた掛けして本日の作業はすべて終了しました。
一週間後かわいい芽が出ることを祈りながらハウスを後にしました。
 
ここでお茶しまっしょ。

 
 
  矢口さんのご家族。右からおばあさん、奥方、息子さんのじゅんいちさん、御大の一成さん、ここに若奥さん、お孫さんお2人が居られます。
素敵なファミリーでしょう。 

水より安い米作りに励まれるこの一家はでっかい夢とロマン、そして重い使命を持ち続けておられます。
安心、安全な食材をすべての人に。 かけがいのない日本の風土を農薬汚染から守る。 ほたるや、とんぼ、ツバメ飛び交う日本の空をとりもどす・・・。

とても素晴らしいお話に身も心も洗われました。


 
4月14日
4月14日、朝は降霜で真っ白。 晴天山もくっきり、我が家からは白馬三山まで眺望。
苗つくり作業の傍ら田んぼでは畦シートの補修。除草剤を撒かない自然田は雑草が至るところに。蜘蛛や蛙虫たちが一斉に
動き出し生き物の楽園だ。
この時期からこんなに草が出て大丈夫?草に負けて米など無理じゃないの? 一年前の疑問・・・・・・。
 
無農薬、有機栽培の米つくりの師匠、矢口一成さんの予想通り、4月9日に播種したポットは今日4月17日見事に一斉に
芽を出す。 連日シートをめくって如雨露で加水!この手助けがあっての結果です。
 
この一週間で硬い籾殻を突き破る神秘な生命の躍動に、心底驚く。
昨年まではこんな過程を知らずに苗を頂いて無造作に田植えをしていたが今年は一本一本大事に扱おう、と誓う。
 
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