「ヨーガとは何か?」        上野玄春

 

感 謝 の 言 葉    

 AUM  これまで、私の人生の旅において、幾多の困難な時においても、常に限りない慈愛によって見守り、真理への気づきを与え続け、希望と歓びの道へと導いて下さる大いなる宇宙の光に感謝いたします。  

 また、このヨーガという何千年にも及ぶ人類のこの上もない叡智と実践の道を発見し、実証し、伝えてこられた歴代の先師様たちに心よりの感謝の念をお伝え致したく思います。  

また私にヨーガへの道への縁を開いてくれた本「ヨーガ根本経典」の著者であり日本の近代ヨーガの先駆者である佐保田鶴治先生、最初にインドに行き、通ったヨーガ道場シバナンダ・アシュラムの総長であるチダナンダジや、その後、講演に安曇野まで来てくださったヨーガスワルパナンダジ、そのお世話をして下さった大分の川端篤先生、その後インドから帰って、通った府中断食道場の牧内泰三先生、そこにおいで下さった沖正弘導師、そしてインド・プーナで、生は歓びである事を教えてくれたB.S.ラジニーシ師、そして何よりも私をヨーガと仏教の僧へと導き、普遍的な宗教のあり方を説き世界の平和を常に願い活動なさった飯島貫実師とダーマヨーガ道会の飯島玄明師に感謝いたします。                    

そして、このヴィヴェーカナンダ・ヨーガ・ケンドラ研究財団のYICC(ヨーガセラピスト養成講座)を受講することによって、改めてヨーガを学び直すチャンスを下さった木村慧心先生のお徳とそれまでのご修行に、心より敬意と感謝の念を捧げます。また、木村先生の師でありヒマラヤの偉大なヨーギ、ヨーゲ・シヴァラナンダ大師と、近代ヨーガを世界に広く伝えた偉大な先師であるヴィヴェーカナンダ大師にも衷心より敬意と感謝の念をお捧げいたします。 

また、これまで私の人生で出会ったすべての方々に、この命の旅の学びを与えて下さった師として心より感謝いたします。とりわけ私のヨーガにおける人生の伴侶 マ・亜土夢・プラチッタと次の時代を生きる尊い魂・世界の子供達に「人類の叡智」として、このヨーガについての論文を捧げ、伝えます。

                     合掌

          2002・11・吉日       玄春 記す   

 

 

 

「ヨーガとは何か?」 上 野 玄 春

 

            目     次  

     表 紙             絵・上野玄春                    

     感謝の言葉               

     要 約                    

     序 文                  4p  

第1章        ヨーガとは何か            6p

         ヨーガの意味と起源/命の思想/ヨーガと健康

    /五つの鞘  /ヨーガの流派 

第2章 パタンジャリのヨーガスートラ   12p

       ヨーガの八支則/ヨーガの流れ/ヨーガの人体

               宇宙観/仏教とヨーガ  

第3章 ヨーガセラピーとしての身心八統道

       身心八統道/相乗の原理                22p

(1)肉体篇(息・食・浴・動)      24p   

    (A)血の質 @呼吸法 A食事法  24p      

    (B)血の流れ B皮膚法 C整体法 34p 

  (2)精神篇(覚・心・愛・修) / 五大について 38p

      (C)心の質   D解脱法 E唯心法   39p

    (D)心の流れ  F愛行法 G修行法   40p 

第4章 私とヨーガの出会い 

 (1)旅のために                   42p  

 (2)聖地巡礼              46

 (3)看病と断食                    42p                  

  (4)万 葉                 52p

結 論                              53p  

参考文献                  55p                                                                                                                                                                             

 

要   約

ヨーガとは「私とは何か? そしてその存在が、宇宙や自然や社会との関わりの中で如何に調和を持って幸福に生きるか?」というテーマを古代の賢人や聖人、そして名もなき修行者達が何千年にも亘って探求し、実践し、「人類の叡智」として私達に伝承されてきた「生命の思想と実践法」です。そして、そのヨーガの思想と技法は、世界の様々な宗教の中にも共通して含まれる生命の智恵でもあり、現代の科学や心理学や医学的見地から検討しても、心身の調和を失いがちな現代生活を営む私達に、大変有効な実技を伴った「生命思想」であり、「心身の健康法」でもあります。

この「人類の生命の智恵」である「ヨーガの起源」を探り、その「ヨーガの思想の原理と構造」を学び、「他の宗教との共通項」を引き出し、現代生活に生かす「具体的な思想と技法」を明らかにする事がこの論文の目的です。

これらの検討によって、ヨーガの根本教典といわれる「ヨーガ・スートラ」で述べられている基本的構造「八支則(アシュタンガ・ヨーガ)」が仏教の「八正道」と多くの共通点を持ち、ヨーガがまた陰・陽のバランスをとるという意味においては、中国の道教(TAO)の思想と合致し、又、万物の根源にプラーナ(生命の気)が宿ると考えるヨーガの思想は、自然の力としての八百万の神を拝する日本の神道と通底していることもわかります。

そしてこれらの思想の構造と技法を総合してみると、そこにおいては、「ヨーガ」とは、「結びつける」「コントロールをする」「バランスをとる」という意味において @身体と心をバランスよく結びつける。 A内なる私(真我)と大いなる我(宇宙・神)とを結びつける。 B人と人をバランスよく結びつける。という「実践的思想」=「修行法」と云えます。

 それを仏教では、「三宝」として、@身体と心をバランスよく結びつけ解放した人間存在を「仏(ブッダ)」といい  A宇宙や自然の法則と自己とを調和させる生き方を「法(ダルマ)」といい、B人と人とが調和し助け合う平和な社会を「僧(サンガ)」といって尊んだのです。

そして、このことは、仏教とヨーガを総合した、故・飯島貫実師の「身心八統道」の理論と実践法にも生かされ、バランスのよい総合的な構造を有していることが再認識されます。そこでは、小宇宙としての人間は、身体の四大(土・水・火・風)と心の四大(土・水・火・風)をバランスよくつなげる「空」(神=宇宙)なる力が働いており、私達がこれらを実感し、その行法を実践する事が日常生活で生かせる、実際的な「ヨーガ」の道である事がここで明らかにされることでしょう。    

序     文

 現代社会において、人々は古代の社会に比べものにならない程の物質的豊かさと、高度な文明を享受しています。科学技術や医学機器も進歩し、飛行機や高速鉄道など早くて便利な交通手段や、電話やコンピューターなど一瞬に世界と繋がる情報手段も持っています。

このような時代では、2500年程も前に釈迦牟仁仏が出家の動機とした、人類の生存における重大なテーマである生きる苦しみ、老いる悲しみ、病に罹る苦しみ、死への恐れなどが解決されていて不思議ではないのに、それにもかかわらず、依然として世界では戦争は止まず、地上の三分の二以上の人々は飢えに苦しみ、日本においては80%程の人が何らかの不健康な状態にあると云われています。また自殺者も、交通事故による死者を越え、国内では年に3万人を越すとも云われ、精神的病にかかる人も増加の一方です。

また、地球規模の過剰な炭酸ガス排出や森林伐採による温暖化や異常気象も年々増えつづけ、大気圏のオゾン層破壊による過剰な紫外線浴射による皮膚癌の恐れや化学物質による食物や自然の汚染によって、魚貝類から鳥魚類、そしてついには人類に至るまで、生命の根幹情報たる遺伝子細胞の変異を起こし始め、地上の全ての生き物の生存の危機を招いています。

もし、この状態をまねいた人類のこれまでの思想と行動を続けて行けば、人類と地球の未来には希望は持てず、人々は心を病み、体を壊し、地球という美しいバランスの取れた生命の場も壊れてしまうでしょう。

仏陀の死後500年を過ぎてから、さらに2000年経て、西洋物質科学文明の発展の思想は、食料の安定的確保と物財を貨幣による交換とその余剰物の貯蓄という方法によって、王侯貴族や国家や資本が人々に、いわゆる「豊かな生活」を見本市のようにサンプルをマスメディアによって見せて、人々の能力を引き出し、競争させ、その優秀なる成果に対して、応分の報償を与え、あるいは獲得出来るというアメリカン・ドリュームに極型的に見られるようなシステムによって成立してきた文明なのです。

そこでは、確かに外的物質の分析や研究による発明発見や科学的テクノロジーの発達によって現在のような豊かな物質文明が築かれた動因になっています。

しかしここでは競争原理による個人や自我の強化と、見本市のような物財の無限なる所有欲などの拡大をテコとする為、いつも他者と比較し、追い落とし、欲望を拡大し、潜在的な不平不満の中に暮らす生活姿勢が身につき、逆に、人間存在の幸福感に大変重要な要素である、与えられた環境に感謝し、欲望を制御し、喜びを創造する生き方や、同朋や他の生命を大切にする事、限りある地球の資源をリサイクルし自然と共存する生き方などが、なおざりになってしまったのです。

そこで、今、古来よりインドにおいて人間を現世の苦しみから救い、解脱(モクシャ)を得るための宗教的修行法として発展し、伝承されてきたヨーガの思想と実践の中に、ますます複雑化し、高度化したこの文明社会にこそ、最も必要な、人間性の回復や、心身のバランスのとり方や、社会の平和をもたらす<命の思想と具体的方法>が含まれていると考えられ、そのまさに人間科学とも言うべきヨーガの全体像をこの「ヨーガとは何か?」というテーマでここに明らかにし、これまでの歴史的人類文化の中で、宗教や芸術そして医学やスポーツなどのカテゴリーとして分かれて追求されてきた「私とは何か? 生きるという意味は何か? 幸福とは何か? 健康はどのように実現するのか? 宇宙や自然と人間はどのような関係にあるのか?」ということについて考察し、新たな人類2000年の未来を創造し、現代思想と文明に生かせる「生活思想としてのヨーガ」をここで導き出していきたいと思います。

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