インド子連れ旅日記 その12   臼井朋子

 インドと食事

インドのヨーガアシュラムに滞在中、仲良くなった子供のおうちで夕食をご馳走になった事があります。小さな子供のいる家庭でしたが 母親は一緒には食べません。せっせとチャパティを焼き、焼きたてを家族それぞれに配り、カレーをついでまわり、私達が食事中、せっせと気を使い働きます。

インドではお客様は神様だという考えがあり、妻は客とは一緒には食べないというのが当たり前なのですが ふだんでもあとで食べるのだと聞きました。他にまねいてもらったおうちでもご主人だけが客人とともに食事をして、奥さんはいつもおもてなし役でした。これって男尊女卑なのでょうか。しかし彼女は実に にこにこと言葉も通じない私達に食事のサービスをしてくれました。彼女は、家族をふくめて人にサービスするのがごく当たり前に身についている様に思われました。

私達は、自由な社会、男女平等という名のもとに女も男と同じように働き、好きな事をしてきたと思っていますが、でも幸せを手にしたと言えるでしょうか。むしろ母性でしかできない家族の中心となり家族を包み込む大きな愛である存在を放棄してしまったのではないかと思います。家族の健康を考え スパイスを薬として調合しながら料理するインドの女性を思う時、男性と同じでないという事が当たり前にあるインドの女性たちは、むしろ幸せなのではないかと思います。

彼女を思うとき一人だけ食事を共にしていないという状態であっても仕事をあるがままに受け入れ精神的にはとても自由な人だったのではと思います。

インドの家庭での食事というのはパターンが決まっているようで 私達がご馳走になったのは北インドでしたが、豆のスープ、野菜のスパイス煮、チャパティ、辛いピクルスという物でした。日本でのみそ汁、煮物、漬け物といったところでしょうか。一日二食が普通で 朝はお茶と食べても軽くトースト程度で昼と夜をきっちり食べます。旅先では良いホテルを使うと朝食はバイキングでご馳走が並び、ついがつがつ食べてしまいますが、やはり三食はちょっと食べ過ぎという気がします。最近は我が家でも二食になり食事時間の拘束がへりました。でも子供達は朝起きてすぐ、10時にみんなで、お昼におにぎり、そして5時に夕食と結局私も4食も食べたりしています。食物を食べ過ぎると心が鈍るという言葉もインドにはありますが、私はいつも食べ過ぎているようです。

またインドには食べ物を浄性、激性、鈍性と分ける考えがあります。浄性の物としてフルーツ、ミルク、ナッツ、生の豆類、生か少しだけ火をとおした野菜が霊性を高めるのに良いとされています。しかし食べ過ぎるとやはり良くなくなるといわれており、食べ物と食べ方の両方を考えていかなければいけないようです。愛美のアトピーで今までやってきたマクロビオティックは本当によかったのかという疑問を携えてのインド旅行で、インドの食べ物に関する考え方を学びました。マクロビオティックでいくとミルクは日本人には乳糖分解酵素がないので合わないとされ、フルーツは陰性でからだを冷やすもので良くないとされ、よく火を入れて陽性にして食べるべきだといいます。ミルクや果物は日本においてはあまり必要なものでないとマクロビオティックではされていますが 本当は魂に必要なものであるかも知れません。両者に共通することは肉食をさけ、少食であれということです。これがやっぱり基本 あとはそれぞれ体にあった物を食べれば良いということかと今は柔軟に思っています。こだわってもそれに囚われない生き方が良いように思います。また全てに感謝する心が人生を豊かにしてくれます。そして囚われを捨て みんなの中で 愛と調和で生き 全てから自由でいたいものです。